誰もが知っている、日本の国民的ヒーロー・アンパンマン。その生みの親である、やなせ たかしさんがどのような人生を歩み、どのような思いでアンパンマンを生み出したのか、気になったことはありませんか?今回は、やなせさんが75歳の時に執筆された自伝、『アンパンマンの遺書』を聴いたので、レビューしたいと思います。タイトルの「遺書」という言葉には少しドキッとしますが、聴き始めるとなんと声はバイキンマン!やなせさんの明るくユーモアあふれる語り口に引き込まれること間違いなし。先日スタートした朝の連続テレビ小説「あんぱん」のモデルとなった、やなせさんと奥様の物語をより深く理解するためにも、ぜひ聴いていただきたい一冊です 。
Audible版『アンパンマンの遺書』

著者: やなせ たかし
ナレーター: 中尾 隆聖
再生時間: 7 時間 53 分
カテゴリー: 自伝・回顧録
配信日: 2025/03/26
アンパンマンの絵本だけでなく、「手のひらを太陽に」の作詞者としても知られるやなせ たかしさん。本書は、岩波書店の岩波現代文庫の一冊として刊行されました 。文庫版は2013年12月17日に発売され、単行本としては1995年2月に出版されています。Audible版は文庫版をバイキンマンの声優 中尾隆聖さんの朗読で楽しむことができます。
トコ最後のセリフはあの声で『バイバイキーン』がよかったなぁ、、、
「遺書」という言葉に込められた想い:やなせたかしの人生を振り返る
「遺書」というタイトルに、少し重いイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、本書は決して悲観的な内容ではありません。75歳という人生の節目に、やなせ たかしさんがこれまでの自身の歩みを振り返り、未来の世代へ語りかけるような、そんな温かいメッセージが込められた自伝でした 。
本書は、やなせさんの子供時代から、戦争体験、新聞社や三越での勤務、漫画家としての苦労、そしてアンパンマンが大人気となるまでの道のりが、率直かつユーモラスに語られています 。特に、やなせさんが94歳で亡くなる直前に書かれた「九十四歳のごあいさつ」という追記が収録されており 、晩年の心境を知ることができる貴重な資料となっています。人生の終末期を意識し始めたからこそ、自身の人生を振り返り、未来へのメッセージを残したいという、やなせさんの強い思いがこのタイトルには込められているような気がしました。
アンパンマン誕生秘話:苦難の時代を乗り越えて
アンパンマンがどのようにして生まれたのか、その背景にはやなせさんのどのような人生経験があったのでしょうか。1919年2月6日に高知県で生まれたやなせさんは 、第二次世界大戦中に兵士として中国に派遣されました 。この戦争体験を通して、やなせさんは「正義のための戦いなんてどこにもないのだ。正義は或る日突然逆転する。逆転しない正義とは献身と愛だ。眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば、その人に一片のパンを与えること」という、アンパンマンの原点となる思想を深く刻み付けられました 。
戦後、高知新聞社や三越宣伝部での勤務を経て 、漫画家として独立しますが、長い間、日の目を見ることはありませんでした 。しかし、その間も児童詩誌「詩とメルヘン」の編集長を長年務めるなど 、子供たちのための創作活動への情熱を絶やすことはありませんでした。そして、1973年に最初の絵本『あんぱんまん』が出版されましたが 、当初はそれほど大きな反響はなかったそうです。アンパンマンが国民的な人気を得るようになったのは、1988年にテレビアニメが放送開始されてからのこと。なんと、やなせさんが69歳の時でした 。
「アンパンマンのマーチ」に繋がる哲学:やなせたかしのメッセージ
アンパンマンのテーマソングである「アンパンマンのマーチ」の歌詞には、「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という、子供向けのアニメとは思えないほど深い問いかけが含まれています 。本書を読むと、この歌詞に込められたやなせさんの哲学が、彼の人生経験と深く結びついていることがよくわかります。戦争で正義が簡単に逆転する現実を目の当たりにしたやなせさんは、絶対的な正義ではなく、困っている人を助けるという、目の前の小さな命を救うことこそが大切だと考えました 。顔が濡れて力が出なくなったアンパンマンが、自分の顔を分け与える姿は、まさにこの哲学を象徴しています。そして、本書の最後には「○月○日、やなせたかし死す。全財産はアンパンマンに贈る。」という言葉が記されています 。これは、アンパンマンが単なるキャラクターではなく、やなせさんの人生そのものであり、全身全霊で生み出した子供だったということなのでしょう。
「アンパンマンの遺書」はどんな人におすすめ?
『アンパンマンの遺書』は、以下のような方におすすめしたい一冊です。
- アンパンマンが大好きで、その生みの親であるやなせ たかしさんの人生や考え方に興味がある方。
- 著名人の自伝やエッセイが好きで、一人の人間の生き様を通して何かを感じたい方。
- 日本の戦後史や、漫画・児童文学の歴史に興味がある方。
- 人生において壁にぶつかっていたり、将来について悩んでいたりして、勇気や希望が欲しい方。
- 朝の連続テレビ小説『あんぱん』を楽しんでいる方。
この本を読めば、アンパンマンという国民的ヒーローの裏側に隠された、やなせ たかしさんの波瀾万丈な人生と、子供たちへの温かいメッセージを理解することができるでしょう。
まとめ:明るい未来へのメッセージ
『アンパンマンの遺書』を通して、やなせ たかしさんの温かい人柄と、子供たちへの深い愛情に触れることができました。決して平坦ではなかった彼の人生から、私たちは多くのことを学ぶことができます。アンパンマンが世代を超えて愛され続ける理由も、この本を読むと改めて納得できるはずです。皆さんもぜひ『アンパンマンの遺書』を読聴いて、やなせさんのメッセージを受け取ってみませんか?





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